バタゴニアの旅
<2月5日から7日の朝>
30時間以上の長いフライト。氷河が見える。南米の端っこマゼラン海峡の町、ブンタアレーナスへ。朝のマゼラン海峡の水に触れる。そんなに冷たくない。友人としゃべりながら歩いていたら、現地のおじさんが静かにするようジェスチャーをする。なぜかと思ったら、近くにホームレスと思われる人が寝ていた。なんと優しい気遣い。道路を渡ろう待っていると、車は停まってくれるし。
パイネ国立公園に向かう。途中プンタナタレスで羊肉のランチ。子羊を開きにして炭火で焼くのが名物らしい。
最初にジャガイモと貝のスープがたっぷり出され(これは美味しかった)、メインの羊は持て余していまう。残念。
パイネ国立公園に入り、ペオエ湖畔のホテルにチェックイン後、軽いハイキングへ。さっそくグアナコの親子に出会う。
<2月8日>
翌朝はホテルの裏の小高い丘に登って、パイネの山々が朝焼けに染まるのを見る。静かだ。
午前中はグレイ湖の氷河展望クルーズ。クルーズ船の乗り場にはハイイロキツネが。
グレイ氷河から押し出される氷。
グレイキャンプで船を下り、いよいよWサーキットのトレッキングの開始。まずはランチ。ホテルで用意されたボックスランチだが、巨大なサンドイッチにびっくり。この後、ボックスランチのサンドイッチは毎朝半分に切って、半分だけ持ち歩くことに。
南極では18度というこれまでの最高気温が記録されたとか、パタゴニアも快晴で日差しが強く暑い。
右手に氷河湖を見ながら、パイネグランデのふもとにゆるやかな上り下りが続く。
ようやくパイネグランデの小屋へ。
立派な小屋で部屋は2段ベッドの6人部屋。男女一緒だ。
シャワーもバーもある。
<2月9日>
日の出は6時半ころ。湖畔で日の出を待つ。
ペオエ湖畔からイタリアン・キャンプへ。樹林帯の中の薄暗いキャンプだが荷物を置いてフランセス氷河の展望台まで登る。時々小雨がぱらつくがたいしたことはなくフランセス氷河へ。山頂をコンドルが飛んでいると教えられたが、あまりに遠くて小さい。
イタリアンキャンプに戻り、フランセスドームへ。
フランセスドームはドーム型のテントのような小屋。8人部屋だが室内にシャワーもトイレもある。ここはシュラフ。
<2月10日>
この日も暑かった。このような安定した日が続くのは、パタゴニアでは珍しいらしい。
ラストーレスはホテルから山小屋、キャンプ場とあり車も入るのでにぎわっている。私たちは登山口から一番遠いノルテ(北)小屋。
<2月11日>
Wサーキットのハイライト、トーレス・デル・パイネの氷河湖へのトレッキング。チレノ小屋までは登り、そこからはキャンプ場までほぼ平坦で、キャンプ場からまた登りになる。途中から雨になったが、氷河湖についた時には雨は上がり、パイネの塔も見ることができた。
駐車場から登れるので、ここは行列ができるほどの人気。赤ちゃんを背負った夫婦も。
これでWサーキットを無事終了。
<2月12日>
チリからアルゼンチン側のパタゴニアへ移動。アルゼンチンのパンパは夏だといっても枯れたような色の風景が延々と続く。チリ側もそうだったが、途切れることなく簡易な柵が続く。個人の所有を示すものだそうだ。簡易なものとはいえ何百キロも張り巡らせるのは大変な労力だと思う。ちなみにパタゴニアは国立公園の部分は少なく、大半は個人の所有。
トーレスデルパイネからフランシス氷河のあたりまで、クロアチアの1家族の所有だそうだ。
何もない平原にポツンとイミグレーション。
アルゼンチン側の中心地カラファテへ。夏の間賑わい、お土産屋さんやカフェが軒をつらねて、軽井沢のようだ。歩いている人はほとんど観光客。
カラファテはパタゴニアの山中にあるベリーの名前でもある。ブルーベリーのようで、この実を食べた人はまたパタゴニアに戻ってくると伝えられている。カラファテのジャムもたくさん売られている。
<2月13日>
氷河湖のクルーズとペリトモレノ氷河の見学。見上げるような氷山がいくつも浮かぶ水域への往復は5時間もかかる。
それかそれからペリトモレノ氷河へ。
1日に2メートル進むという氷河は時々崩れ落ちる。内部で崩れる音も聞こえる。高さは70メートルだそうで、迫力満点。いつまで見ていても飽きない。
<2月14日>
チヤルテンへ。午後はセロ・トーレ展望のトーレ湖へ。
氷河は雪が積み重なっていき空気がだんだん追い出されていくそうだ。氷河が青く見えるのもそれと関係があるとのこと。空気がないので、湖に浮かぶ氷は本当に透明だ。水は氷河が削る岩のせいで濁っている。冷たい。
トーレ湖をめぐるモレーンの稜線は強烈な風が吹いている。吹き飛ばされそうだ。
<2月15日>
フィッツロイ展望トレッキングの予定だったが、天候が悪いとのガイドの判断で山麓のみ歩く。見上げる山には昨夜の雨が新雪となってうっすら積もっている。
<2月16日>
再び国境を越えチリへ。道路脇でコンドルを見る。
反対側ではカラカラという大型の鳥が何か動物の死骸のようなものに群がっていた。カラカラも良く見られる鳥だった。
行きにも寄ったホテルラ・レオナの前には世界の各都市への距離が書いてある。東京は21000キロ以上、ダントツで遠い。はるばる来たものだ。
延々と続くパンパは、木陰も休むところもないので、ここには大型バスをはじめトイレや食事の利用者が多い。この中を自転車で旅する人々も。200キロくらい同じ風景で、照れば暑く風が吹けば強烈。自転車は厳しそうだな。
プエルトナタレスに戻り、プンタアレーナスから長い長いフライトで日本へ。
パタゴニアは風の大地とも呼ばれ、また一日のうちに四季がある、と言われるほど天候が変わりやすいし、気象条件も厳しい。今回前半は快晴無風が続き、20度を超える暑い日が続いた。後半は雨が降ったり晴れたり風が吹いたりと、パタゴニアらしい天気となった。
道端にはグアナコ、うさぎ、カラカラ、フラミンゴ、ダチョウのようなダーウィン・レアなど、野生生物も身近にみられる。植生は3種の南極ブナが目につく。落葉するものと常緑のものがあるが、葉は1センチくらいの小さなもの。花は赤いノトロが目立つがスミレや菊、タンポポなど黄色い花も多い。たくさん見られたマゼランヒナギクはハーブティーにもなっていた。